『遺体 明日への十日間』
東大震災の被災地、釜石の遺体安置所での物語です。
当時の報道では知ることの無かった姿がここに映し出されていました。
原作者が取材のため被災地に行き
実際に安置所の手伝いをしていたことがベースになっているんだそう。
だからこそ、報道で知り得なかったことが表現され
尚且つ映画化にあたり監督がまた被災地行き
人々から直接話を聴いたと言う。
被災地であったことを、痛みを真摯に伝えたい。
そんな想いで作られたこの作品は台本はあったものの、
セリフも役者自身が感じるまま言葉にする
そんな手法を取ったんだそうです。
フィクションではあるけれどフィクションじゃない。
みんなが疑似体験をしながら感じるままに出る言葉・動き
本当に胸が詰まりました。
記憶にある津波などの生々しいシーンは出て来ません。
けれども“遺体安置所”と言う特別な場は
本当に切なく、苦しい。
亡くなった人達も、家族を探す人たちも
そして様々な役割でそこにいる人達も
誰の心も締め付ける。
終わりの見えない状況に追い詰められ疲弊する心身。
大混乱の中の理不尽な環境やルール。
やり切れない思いであの場にいた人達。
あのような事態があふれていたのかと思うと
本当に切ないです。
けれど、辛い苦しいだけの映画ではありません。
安置所の世話役を買って出て
“ご遺体”に寄り添う男性・相葉。
彼の亡き人達を想う姿が周りを変えてゆき、
そして観る側にも温かい気持ちにさせてくれました。
逃げ出したくなる人を責めることも出来ない。
それほど過酷な状況の中
本当に相葉さんのような人がいたことは救われる気がします。
この映画の収益金は被災地に寄付されるそうです。
苦しくなるのは覚悟の上でぜひ、映画館で観て欲しいです
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